
二郎は店により、また同店舗でも時間により、作り手により、さらには食べ手の体調等により、かなり味が違う。ま、それでも二郎は二郎であり、他のラーメンとは明らかに別枠だ。それはジャイアンツとカープ、といった別枠ではない。野球という共通項があったにしても、カープとジャイアント馬場ぐらいの別枠なのだ。※馬場さんは元ジャイアンツの投手。
さて、ここは環七内回り新代田。新代田の二郎はハードボイルド二郎。茹で具合の話ではなく、硬質な、ケレンのない、ストレートな二郎。それでいて味は深め。淡白だが深め。まさにラーメンの大薮ワールドである。カウンターにあるのはコショーだけ。他の調味料のたぐいもなければ、レンゲもない。ザ、殺風景!カウンターの中の調理人は北野武映画の芦川誠に似ている。唯一のアトラクション、花かつおは小袋入りの既製品が給水機横に置かれているがセルフで50円。
「勝手に払って勝手に入れろ。花かつおってのはそういうもんだ」
初期北方ハードボイルドだとそんな台詞になる。
「これが二郎だ」
小声で言いながら、ふところに飛び込んで相手のボディーを打つ。男は崩れながらニヤリと笑った。
そんな二郎だ。平たく言うと、これは相当うまい。
ラーメン、野菜ニンニク増し、600円。
最後にどうしても触れておかねばならないだろう。ここの豚の脇役感は絶妙。うまい、まずい、ではない。ラーメンどんぶりという閉鎖された空間の中で、すべてはラーメンという共同作業の中での立ち位置だ。この話はまた機会があれば展開したい。とにかく、この豚は、
「ナイス、アスカ!」
70年代の山田吾一、岡本信人、小林稔侍を見る思いがした。(杉作J太郎)


